元『エスクァイア日本版』音楽担当が綴る、レビュー回顧。
第6回はサザン・カルチャー・オン・ザ・スキッズの
『ダート・トラック・デイト』です。
聴かせて楽しませる技術。ここ最近では、CD店店頭に
「AMERICANA」という名称のコーナーが見られるようになりました。
もともとはカントリーから派生した音楽についた名前だそうですが、
コーナーにはカントリーというには、オルタナティヴだったり、
よりフォーキーだったりと、結構さまざまなテイストの音源が並んでいます。
いくつか聴くと、アメリカのカントリーサイドの情景が、
しかもそれぞれ違った様子で眼前に(耳前に?)浮かび上がるようです。
昔ながらのカントリーが、ノーマン・ロックウェルの絵のような
「古き良き」ノスタルジアを描いているとするなら、
アメリカーナは、例えばロバート・フランク、
時にはダイアン・アーバスの写真のような、
苦みを備えたヴィジョンを持っているといえるでしょう。
そんなアメリカならでは、かつフレッシュな音楽を聴いていると、
過去にもそうした経験をしたことが思い出されます。
’96年の2月号のレビューで取り上げた
サザン・カルチャー・オン・ザ・スキッズ(SCOTS)
『ダート・トラック・デイト』がそれ。
カントリーの音感に、ドライヴ感のあるリズム。
当時はB-52’s的なサウンドなどと思っていましたが、
今改めて聴くと、実はオーセンティックな音づくりがベースであることがわかります。
強いグルーヴは演奏自体から生み出されているものなのです。
それは例えば『パルプ・フィクション』に使われリバイバルヒットした
ディック・デイル&デルトーンズの「ミザルー」にも通じるところがあります。
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posted by esky復刊応援コミッティ at 03:39
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