
『エスクァイア日本版』音楽担当が綴る、レビュー回顧。
弟4回はソプラノ歌手、キャスリーン・バトルの『ソー・メニー・スターズ』です。
音楽を「聴くこと」の基準とは。『エスクァイア日本版』には、さまざまなジャンルの音源が届きます。
今日においては、音楽の発表の場はメジャーレーベルのCDに限らず、
インディーレーベルやアーティスト本人によるサイト、
またはmyspaceなどと広がっていますが、
’90年代後半はまだまだレコード会社がその中心的役割を果たしていました。
ほぼ毎日のようにレコード会社のプロモーターの方が来社して、
カセットテープのサンプル音源を幾つも置いていきます。
机の上にはあっという間にテープの壁が出来てしまいました。
それを何本かずつ家に持ち帰り、聴くことが日課となりました。
前任の音楽担当N氏の意向もあって、本誌のレビューで紹介する音楽は、
ジャンルを問わないことが不文律としてありました。
ロックやポップスがもちろん多いのですが、エスクァイア的音楽でもあるジャズ、
さらにはクラシックや現代音楽、民族音楽からクラブミュージックまで、
守備すべき範囲は実に幅広い。わけがわからないまま資料とにらめっこしながら、
恐る恐る触れる音楽が半分以上でした。中でも最も不案内だったのが、
クラシック音楽でした。
そんな戸惑いの時期に出合い、その後も聴き続けることになったのが、
今回挙げるキャスリーン・バトルの『
ソー・メニー・スターズ』です。
黒人のソプラノ歌手として、オペラやクラシック音楽の分野で活躍するバトルが、
自ら企画したアルバム。そこに収められているのは、
「ねむれねむれ」や「家路」といった童謡とも呼べる親しみ深いメロディです。
タイトル曲はなんとセルジオ・メンデスのもの。
それらをジャズのミュージシャンたちの演奏とともに、
コロラトゥーラを交えながら丁寧に歌っています。
続きを読む
posted by esky復刊応援コミッティ at 14:37
|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
裏Esky Music/レビュー回顧
|

|