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2009年04月07日

「読書の時間」vol.3

話題の本を紹介する「読書の時間」。
第3回は『「ローリング・ストーン」インタビュー選集』を紹介します。

1967年にアメリカで創刊された雑誌『ローリング・ストーン』。
そこに掲載されたインタビューの中から、
本書では40人のインタビューを厳選収録しています。

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「ローリング・ストーン」インタビュー選集
ヤン・S・ウェナー/ジョー・レヴィ編
大田黒奉之/富原まさ江/友田葉子訳
(TOブックス)¥3,150

収録されたインタビューが行われたのは1968年から2005年。
取材対象もジム・モリソンからビル・クリントン、ダライ・ラマまでと幅広い。

白眉は、作家トルーマン・カポーティへのインタビュー。
1972年に『ローリング・ストーン』誌から、
ローリング・ストーンズの「メインストリートのならず者」ツアーについての
特集記事の依頼を受けたカポーティ。
彼はツアーに同行したものの「創作意欲が沸かない」と記事を書くことを放棄。
そこで編集部は一計を案じて
アンディ・ウォーホルにカポーティへのインタビューを依頼、
ツアーの内情を赤裸々に明かさせることに成功しています。
くせ者の作家に対する編集部の対応が見事です。

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このツアーに同行して乱痴気騒ぎのスチール撮影を担当したのは、
ジャケットにも写真を提供していた巨匠、
ロバート・フランク(以前、当ブログでも紹介)だったとか。
ツアーの様子はこちら。



カポーティはノンフィクション・ノベル『冷血』('65)を発表して以来、
本を完成させることなく(遺作は未完の『叶えられた祈り』)、
晩年はアルコール中毒と薬物中毒に苦しみ、'84年に死去。

『冷血』は同名の映画('67)として、
またこの本を書き上げるまでの経緯は
カポーティ』として映画化(2005)され、
後者でカポーティを演じたフィリップ・シーモア・ホフマンは
第78回アカデミー賞主演男優賞を受賞しています。

ちなみにカポーティの代表作『ティファニーで朝食を』('58)
の初出は、米版『エスクァイア』でした。

また作家、トム・ウルフへのインタビューでは、
『エスクァイア』で記者をしていた頃の失敗談から、
取材の極意を開陳する貴重な場面も収録されています。

本書の編者、ヤン・S・ウェナーは、米『ローリング・ストーン』誌の創設者。
1968年、ザ・フーがフィルモア・ウエストでライヴを行ったある晩、
ピート・タウンゼントがギターをたたき壊さなかった理由を聞くため(!)に
楽屋を訪ね、後に発表されるロックオペラ「トミー」の全体像を
世界で初めて聞き出すことに成功したという敏腕編集者です。

「人々を魅了する音楽や文化がどのようにして生まれたのか、それを創り出した人物はどんな人間なのかを探ろうと貪欲に取り組み、意外な新事実の発掘を狙って実際に成功させた」(ウェナーによる序章より抜粋)という、
『ローリング・ストーン』のインタビュー術。

その手法は今ではロング・インタビューの定石ともいえますが、
40年前から実践され、40人のインタビュー集として編まれた本著は、
著名人の知られざる素顔を覗くことができる貴重な一冊となっているのです。

『エスクァイア日本版』復刊コミッティ
瀬尾英男
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posted by esky復刊応援コミッティ at 05:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書の時間 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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