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2009年04月20日

From New York vol.1 ピート・ハミル氏からの手紙。

今日からスタートする新連載「From New York」。
ニューヨークからメディアに関するさまざまな話題をお届けします。
第1回はかつて『エスクァイア日本版』でも連載し、
読者投票で連載企画の人気第1位に輝いたピート・ハミル氏からの
コメントを紹介します。


ブルックリン生まれ、生粋のニューヨーカーであり、
『ニューヨーク・ポスト』紙、『ニューヨーク・デイリーニューズ』紙と
タブロイド新聞の編集長を歴任し、ジャーナリストの大先輩であり、
作家であるピート・ハミル氏に会った。
彼は『エスクァイア』の有数の書き手としても知られる。
“I’m old!”と自嘲的に言いつつも、精力的な文筆活動はまったく衰えず、
この日も『ニューヨーク・タイムズ』紙への書評を書き終えたばかりだった。
人々を不安に陥れているこの不況にあって、
現在、老舗の新聞『サンフランシスコ・クロニクルズ』や
『ボストン・グローブ』までも深刻な経営状態になっている。
紙とインターネットという2つの異なった媒体が揺れ動く中、
新聞ジャーナリズムは一体どうなるのか? 
“Nobody knows yet,”とハミル氏。
アリゾナの新聞の中には、紙の購買が落ちる月火水はウェブ版だけにして、
木金土日と週末のリスティングを見たいために紙を買う人が増える週末に向かって紙、
ウェブ、両方販売している新聞社もある、と言う。
過渡期の現在、皆が試行錯誤なのだというところから、
話は『エスクァイア日本版』に及んだ。
彼は顔を曇らせ、それは必ず何とかしなければ、と快くコメントを寄せてくれた。
ちょっと待て、とわざわざワープロに向かってくれたのだ。

From Pete Hamill: Don't let Esquire Japan die. The economic mess cannot last. And when it's over, people will still need this magazine -- more than ever. They will need it to provide insight about the world as it is, and thought, and passion, and laughter and high literary style. It will need Esquire Japan to help the audience - old and new -understand what happened to human beings all over the world, and to learn new ways to make certain that the same mistakes are never made again. We will need the old virtues of intelligence and style to replace the ethos of greed that caused so much pain. We will need irony and wit and great reporting. In short, we will need Esquire Japan.
If that means moving through the immediate era of hard times, then take the
magazine exclusively to the Internet. But when the hard times do end, let us hold it again in our hands, turning its superb pages, gazing clearly at the world. Do not let excellence die.

ピート・ハミルより:
『エスクァイア日本版』を絶やしてはならない。
経済破綻は永遠に続くものではない。
不況が去ったとき、これまでにも増して、
この雑誌こそがほんとうに必要だったのだと気づく……。
あるがままの世界へ切り込む洞察力が必要だったと、無くなってから気づくのだ。
思考が、情熱が、笑いが、薫り高い文学のスタイルが。
昔からの、そして新たな読者のために『エスクァイア日本版』が必要だ。
世界各国の人間を理解するために。
同じ過ちを二度と繰り返さないよう新しい方法論を知るために。
傲慢な声があちこちでこだまし、心が痛む結果となった。
古き知性とスタイルを尋ねて、それを塗り替えよう。
アイロニーが、ウィットが、そして真摯な取材が必要だ。
つまるところ『エスクァイア日本版』が必要なのだ。
現在の厳しい時代を切り抜けるために、
特別なインターネット・マガジンにしても良いではないか。
そして厳しい時代が終焉を遂げたとき、再び、元に戻せばいい。
手に取って素晴らしいページをめくり、世界を目の前で確かめるのだ。
こんな素晴らしいものを絶やしてはならない。


アイロニー。ウィット。そうなのだ、雑誌は新聞と違う。
「それは『デイリーニューズ』では、ほとんどできないことだからね」
とハミル氏は言った。
『エスクァイア日本版』の復刊が実現すれば、
日本の社会全体が少しは元気になる気がする。
「Never give up」という言葉が体に沁み込んでくる今日この頃である。

文=芝原三千代
text by Michiyo Shibahara



Pete Hamill
ジャーナリスト・作家。
政治問題から社会の底辺に生きる人々までを鋭い視点、
深い洞察、深い情愛で描く。
山田洋次監督作品『幸福の黄色いハンカチ』の原作者としても知られる。

Works of Pete Hamill
〜ピート・ハミル氏の近著・近況〜


マンハッタンを歩く
ピート・ハミル 雨沢泰訳
¥2,415(集英社)

Downtown: My Manhattan
ニューヨークで生まれ育った人だけが語れる
思い出と愛情に満ちたニューヨーク史。
因みに、アメリカで出ているこの本のオーディオブックは、
ピート・ハミル氏本人の声で録音されている。
本を読んだあとに聞くと、英語でもすっと入っていけるのでオススメ。
著者本人の朗読というのがイケている。


ニューヨークでは、
ハミル氏の友人であるゲイ・タリーズの復刻版
Honor Thy Father(邦題:汝の父を敬え)
に前書きを寄せている。
60年代のエスクァイア本誌は
ニュー・ジャーナリズムの旗手とも言うべき書き手の本拠地であったが、
ノーマン・メイラー、ティム・オブライエン、トム・ウルフなどに並んで
ゲイ・タリーズもそのひとりであった。






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posted by esky復刊応援コミッティ at 15:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | From New York | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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