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2009年05月12日

レビュー回顧〜手元に残ったCDについて その3

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「ロウ・ファイ」の時代?

クラブ空間から発信される音楽がもてはやされると、
やはり英国のアーティストのプレゼンスが高くなります。
しかし’90年代半ばには、アメリカから、
ストリート感を感じさせる音楽が響いてきました。
モーフィーンの時にも触れた「ロウ・ファイ」です。

『エスクァイア日本版』'94年9月号のディスクレビューには
ラテン・プレイボーイズの『ラテン・プレイボーイズ』、
そして10月号には
G・ラヴ&スペシャルソース『G・ラヴ&スペシャルソース』が紹介されています。
ロウ・ファイシーンの大立者であるジョン・スペンサーも
ちょうどこの頃ファーストアルバム『オレンジ』をリリースしました。

といっても、今聴くと前出の3アーティストのサウンドは、
全くもって違うことがわかります。
ひとつのカテゴリーに当てはめるにはかなり無理がある。
それは当時もいわれていたことでした。
ただ、リズムすら楽器のスキルなくPCでいくらでも創造可能になった時、
生の音感の魅力を再発見するという文脈で、
ハイ・ファイに対するロウ・ファイという考え方が出てきたことは理解できます。

その一方で、ラテン・プレイボーイズを聞けば、
そこにサンプリング文化の影響が色濃いこともまたわかります。
サウンドスケープとしてのアコースティックを生み出すべく、
過去の音源(または自らの演奏や環境音)から切り貼りする。
そういえば当時「モンド」という言葉もありましたね。
かつてはB級趣味とされていたものが、ある種の存在感をもって復活する感じ。
彼らの音は直球にモンドではないですが、
幻視のように記憶と現在の光景がないまぜになっている感があります。
そういうヴィジョンを備えたところが、
幅広い支持に繋がったのかもしれません。
ファッションの撮影の現場で、スタイリストやヘアメイクの方が
よくかけていたことを記憶しています。

ラテン・プレイボーイズ=ロス・ロボスであることは、
音楽がお好きな方はご存知だと思います。
当時は、あまり物事をわかっていなかったこともあって、
ロス・ロボスといえば’80年代に「ラ・バンバ」の
リバイバルヒットを飛ばした人たち、ぐらいの認識しかありませんでした。
ただこの認識を今再考するとそう誤ったものではないかもしれません。
メキシコ系アメリカ人のロックンローラー、
リッチー・ヴァレンスの伝記映画の音楽を担当したことは、
彼らのルーツへのリスペクトを端的に物語っているともとれますから。
そのスタンスはラテン・プレイボーイズのサウンドにも窺えます。


Latin Playboys「Manifold de Amour」

そうそう、ラテン・プレイボーイズのプロデュースは
ミッシェル・フルーム&チャド・ブレイクでしたね。
ロウ・ファイを語る上では、彼らもまたキーパーソンかもしれません。
それまで手がけた作品は、
クラウデッド・ハウス(「ドント・ドリーム・イッツ・オーヴァー」は
今でも時折聴きたくなる名曲です)、
スザンヌ・ヴェガの『99.9F』、
ロン・セクスミス『ロン・セクスミス』。
ラフな質感を演出するサウンドの傾向は、確かに共通しているように見えます。
ちなみにミッシェル&チャドは、
引き続きラテン・プレイボーイズの作品と、
ロス・ロボスのアルバム『コロッサル・ヘッド』等を手がけています。

本誌音楽担当S



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ラテン・プレイボーイズ
ラテン・プレイボーイズ

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G・ラヴ&スペシャルソース
G・ラヴ&スペシャルソース

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オレンジ
ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン

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posted by esky復刊応援コミッティ at 03:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 裏Esky Music/レビュー回顧 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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